ブライダル業界で働いていると、自然と言葉遣いにはとても敏感になります。
丁寧さ、敬意、そして何より「心に届く言葉」を選ぶことの大切さを、日々実感しています。
そんな私自身、もともと「言葉」がとても好きです。
だからこそ、結婚式の会場をご案内する際には、ただ説明をするだけでなく、お客様の心に寄り添うような“感動をお届けできる言葉”をかけたいといつも思っています。
このブログではいつもは、元プランナーのKGママ(ケージーママ)が実際に多くの結婚式に携わる中で感じたことをもとに、アドバイスや心に残る演出案を提案しております。
しかし、今回はちょっと趣向を変えて結婚式に対する私の小話をお届けしたいと思います。
バージンロードに込められた「過去・現在・未来」
例えば、挙式会場をご案内する際。
チャペルの扉が開き、バージンロードが見えると、多くのお客様が「わぁ、きれい…」と感嘆の声をあげてくださいます。それだけでも嬉しい瞬間です。
でも、私が本当に届けたいのは「美しさ」だけではありません。
これから結婚式を挙げるおふたりが、自分たちの物語を重ねてイメージできるような、そんな言葉を添えたいのです。
バージンロードには、実は「過去・現在・未来」を表すという意味があります。
新婦様が、お父様と一緒に歩まれるその一歩一歩には、幼い頃の思い出や、家族の温もりを想い出していただきたい。
——それが「過去」。
そして、お父様から新郎様へとバトンタッチされる場面は「現在」。
今まさに、子育てを終える瞬間。支える役目を引き継ぐその時に、心の中にさまざまな感情が去来します。
そして、おふたりが手を取り合い、歩み出す「未来」。
これから続く人生を、互いに支え合いながら進んでいく——その決意を胸に、バージンロードの先へと向かっていただきたいのです。
このようにお伝えすると、多くのお客様が「ああ、これはただの通路じゃないんですね」と、表情を変えられます。
バージンロードが、人生を表す大切な道に変わる瞬間です。
結婚式を「意味あるもの」に変える言葉
こうしたエピソードは、バージンロードに限りません。
会場のひとつひとつ、演出のひとつひとつに、意味や想いが込められています。
例えば、家族への感謝を伝える“演出”。
また、伝統に基づいた“儀式”や“仕掛け”。
それらを丁寧に言葉で伝えることで、結婚式は「ただのイベント」ではなく、「人生の節目」としておふたりの心に深く刻まれるものになるのです。
やはり、言葉の力は偉大です。
心に刺さる言葉を届けたくて
私は、もっと自分の言葉に磨きをかけたくて、日々、落語やラジオを聞いたり、詩集や短歌に触れたりするようにしています。
そんな中、最近とくに好きなのは、俵万智さんの作品。
2025年4月に発売された、ご著書『生きる言葉』を美容室で読んでいたのですが、あまりの感動に思わず「はぁ…」とため息をついて目を閉じていたら、担当のスタイリストさんに驚かれてしまいました(笑)

しかも、俵万智さんのすごいところは、読む時の自分の状況によって染みる言葉や刺さる言葉が違うこと。毎回新しい感動と発見に出会わせていただいております。
でも、それくらい深く、心に響く言葉に出会えると、その言葉を誰かに届けたい、という気持ちが自然と湧いてくるのです。
結婚式を、もっと特別なものに
私は今も、こうして文章に想いを込めて、結婚式の素晴らしさを伝える活動を続けています。
「結婚式って、いいものだな」
「挙げるつもりはなかったけれど、やっぱりやってみようかな」
そんなふうに感じていただけたら嬉しいです。
そしてこれからも、心に届く言葉を紡いでいけるように、日々、言葉と向き合っていきたいと思います。